個人的な記録

 

ロンドンを南に下ること列車で1時間、サウスダウンズの丘陵地帯を抜けると緑の丘のふちに真っ白い崖が目に飛び込んでくる。車で海岸線に出ると更にスケールの大きい白い壁が続く。セブンシスターズ、ビーチィヘッドの白い崖。この景色は、イギリスをヨーロッパ大陸から切り離し、まさにイギリスをイギリスたらしめている城壁だ。かつて、英京ロンドンをめざした幾多の日本人が、何か月もの航海の末に初めて見たイギリスの風景は、この石灰岩でできた白い壁であったことだろう。これとは逆に、イギリス人アーネスト・サトウはやはり同様に長い航海の末、1862年、初めて眼にする日本を「青い波に洗われた遠くそそり立つ崖」(萩原延壽氏「遠い崖」あとがき)と表現している。

緑豊かな島国、白い崖に囲まれた島、イギリスの旅日記。